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メキシコと静岡のあいだのPepe

前回の投稿で、"自分自身のサッカーそして人生において大切にしている考えが間違っていないと感じることが出来た"と述べたが、拙文を読み返してみると少しニュアンスが違うことに気がついた。言い換えるとしたら、"自分自身のサッカーそして人生において大切にしている考えは、サッカー界を知り尽くしたプロの方々のそれらと似ているぞよ"という文章の方がしっくりくる。かなりおこがましい言い方なのだが、こればっかりはPepe自身がそう感じたのだから、自分だけは、そう信じるし、そう信じ続けることにする。

"サッカー界を知り尽くしたプロと似ている"と自分自身を評したからには、その似ている部分とやらをいくつか紹介せねばならない。というわけで、頭の中の記憶データ内を検索してみる。

◆ユーモア
サッカーの世界は厳しい。そりゃ競争社会だから強い人間は生き残るし、弱い人間は消えていく。選手、監督をはじめ、クラブのスタッフやその他サッカーに関わる人間は毎日が闘いだよ。公務員じゃないんだから、上層部からアナタは使えない人間だと判断されれば、あっという間に職を失う。Pepeのようなゆるゆるぷらぷら貧乏通訳に関しては、クライアントからのフィードバックも皆無に近い場合がほとんどだから、次の仕事のオファーが来なければアナタはもう要らないということなのだろう。なかには、代表チームの来日中に"明日から別の通訳が来るからアナタは来なくていいわ"と翌日からの職を失ったという方もいるらしいが、幸いPepeには未だそうした事態は発生していない。付け加えておくが仕事の有無とその量に関しては、自分の営業力や人脈に依って多少は変わってくる。

話が少し逸れたが、サッカーのトレーニングもやはり厳しいのが当たり前。ラファの講義は、メキシコのU-12世代のトレーニング方法を紹介するというものだったのが、約二時間のピッチでの講義のなかで一番重きを置いたのがコーディネーションのトレーニングだった。何故、コディネーションに重きを置くのだ?という話はここでは割愛しまたいつか述べることにして、講義に参加した指導者の方々からは時折"けっこうキツイですね・・"というお言葉を頂戴した。

ラファは真面目で、物静かで、仕事熱心で、好奇心が強く、気配り上手で、本当に素晴らしい人間性を兼ね備えた指導者だった。ホテルを出発する際にも、例えば11時出発であれば必ず15分前にはロビーに降りている。"私はドイツ人だからね"と冗談を飛ばすと同時に、"約束の時間を守ることが一番の信頼に繋がるし、相手へのリスペクトなんだよ"といつも口にしていた。"もちろんメキシコ人は時間にルーズな部分があるよ、だけど私は遅刻するのが大嫌いなんだ"とも付け加えていた。

トレーニング前の準備では、たいがい黙ってピッチ内をうろちょろすることから始まる。参加者の人数、グランドの大きさや照明の配置場所、コーンの数などを先ず頭にぶち込んで、それから、どこに何を置いて、最初のメニューはこれをやって、その次のメニューはあれだから、これをそこにおいて、最後はこのメニューで終わるから、それをそこに置こう、と2時間のトレーニングの流れを説明しだすのだ。Pepeはそれを聞いてただ指示通りにマーカーやらコーンを配置するだけ。非常に簡単な仕事なのさ、ふっふっふ。とはいえ、"こうした方が良いのでは?"と疑問点が出てきた時にはちょいと突っ込みを入れる。すると、ラファは"ふむふむ、それならそうしよう"とPepeの意見が採用される時もあれば、逆に"いや、これはこうで、ああだから"ときちんと突っ込みに対する答えを持っている時もあるので、そういう場合は"はい、わかりました"の一言で終わる。通訳は決して出しゃばっちゃいけない。これはピッチ内で言葉を訳す時も全く同じで、時として自分のサッカー観とやらを曲げられずに、拡張した言い方やアナタのサッカー観を混ぜて訳す方をお見掛けすることも悲しいことにあるのだが、これは最低で本当に失礼なこと。

また話が逸れた、ユーモアについてだな。ラファはどちらかといえばトレーニング中は冗談を言わず、熱心な指導をみっちり続ける人間だった。ただ、時折冗談を入れてくる。例えば、ピッチでの講義中に参加した指導者から疲労感が見えてきたときに"少し給水を取りますか?"と聞くと、"そうですね、休みましょう!"と満場一致の答えが返ってくる。すると、"わかりました、1時間20分後にたっぷり給水タイムを取るのでもう少しだけトレーニングしましょう!"といったような発言をする。ところが、思ったほど笑ってくれる指導者の方も少なく、というのも笑えないほどに疲れてしまっていたりするのだ。

昨年までアカデミーのテクニカルアドバイザーを務めたアルゼンチン人のミゲル(現在はニューウェルズ・オールド・ボーイズの育成部で仕事をしている模様)にも似たようなユーモアがあった。トレーニングメニューを実践しながら要所でキーポイントを説明していくのだが、真面目な表情で話をするから参加した指導者の方々も真剣に耳を傾けるし、なかにはポケットからメモとペンを取り出す方もいる。そして一通りの説明が終わった後に、"どうして今のタイミングで皆さんにこういう話をしたかわかりますか?"と。一呼吸おいて指導者の方々の表情を伺い、"皆さんの呼吸を整えるためです"と微笑みながら語りかけるのだ。文章ではユーモラスな雰囲気を伝えづらい部分もあるのだが、なんとなくの雰囲気で感じて頂けたら幸いどうぇす。



話が逸れることが多かったな。ほとんどユーモアについては触れることがなかったし、書き綴っていくなかで、自分の考えはプロの考え方と似ているとほざいた自分が、全くそうではないような気がしてきたし。まぁいっか。そして何を隠そう、Pepeはユーモアを訳すのが得意なのだ。ただ、決して簡単ではない。最後に紹介したミゲルの話にしても、一瞬の感覚的判断で笑えるような日本語を発さなければミゲルの言葉を殺してしまうわけだから、普段からおかしなことを考えたりしていないとなかなか一発で笑いを起こすことは難しいだろう。日本語のわからないミゲルにしても、冗談に対する指導者の方々の反応が、Pepeが使える人間なのかどうかを判断する一つの材料になるのだ。ただ、ユーモアだけじゃ生きていけない。だけど、サッカー界にはユーモアのある人が多いことは確か。そして、ユーモアは武器になる、たぶん。


Pepe
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by albondiga | 2012-12-15 22:28


ゆるゆる通訳者(スペイン語)の、これまでとこれからを綴ったゆるゆるブログ。自身のサッカーについてもゆるゆる綴ります。メキシコ、トルーカ在住。


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